スーザン・A・クランシー 『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』第1回


Clancy, S, A. 『ABDUCTED』の邦訳版。

性的虐待についての”回復された”記憶の研究を行っていた研究者が、

その”回復された”記憶をより安全に研究する方法として選択したのが、

「エイリアンに誘拐されたと思っている人の”回復された”記憶」についての研究であった。


この本には、アブダクション、アブダクティー、ビリーバーという用語が頻出するので、

まず、その用語の定義をしておこう。


アブダクション(abduction)
エイリアンに誘拐されること。

アブダクティー(abduntee)
エイリアンに誘拐された人、誘拐されたと主張する人。

ビリーバー(believer)
アブダクションが真実であると信じる人。



本書では、インタビューやアブダクティー達との数日間の生活、心理学的実験を通して、

タイトルの通り、「なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか」を様々な切り口で考察している。


第1章では、著者がアブダクション研究に携わるようになったきっかけから、

アブダクティー・コミュニティとの数日間の生活までを書いている。

この章で重要な部分は、”回復された”もしくは”偽りの”記憶に関する本であること。

真実を追求する科学にも立ち入ってはいけないフィールドがあるということ。

アブダクティー達は、「悪い夢を見た」という事実に対する解釈として、「エイリアンに誘拐された」が最もしっくりくる回答であること。

そして、科学が呈示する客観的事実は、真実ではないということ。