村上 宣寛 『「心理テスト」はウソでした-受けたみんなが馬鹿を見た-』 Part. 3


第5章 採用試験で多用される客観心理テスト−内田クレペリン検査


就職試験やその対策テストなどでお馴染みの内田クレペリン検査


<個人的には、大学時代から、
<「あれで測れるのは個人の平均的な計算の速度やろ。なんで、そんなもんが就職に必要なんか、さっぱり分からない。」
<と思っていた内田クレペリン


本書によると内田クレペリン検査で測定できるのは、作業水準(足し算の量)と作業曲線の形(作業量の時間経過によるパターン)。


各行の一番後ろの数字を○で囲み、折れ線で結ぶ。
その線のパターンがギザギザで激しくなると精神的に不安定と判断される。

検査の結果は、作業量の段階、定型特徴の程度、非定型特徴の程度の3つの組み合わせ=24パターン分類で解釈されるが、
その解釈は、基準が不明確で主観的である。

(例)
健常者状態定型
○ 前半がU字型になる
○ 曲線で適度に動揺している
○ 誤答がほとんどない


健常者状態定型の特徴
○仕事にすぐ慣れて上達が早い
○外からの妨害に影響されにくい
○人柄も円満で率直で確固たるところがある


非定型
○ 大きい落ち込み
○ 後期作業量の低下
○ 動揺の欠如


非定型の特徴
○行動や気分の変化が著しい
○気力やエネルギーが衰弱
○感動性の欠如、へそ曲がり的


<計算を延々とやっていくだけでここまで分かるかい!!



内田クレペリン検査で見られる激しい動揺=ギザギザ
ブロッキング現象
 =精神的疲労による行為の実行の瞬間的な休止


心理テストは、ターゲットにしっかりと当たり、
外れたときには、外れたと分かることが大切


内田クレペリン検査では、定型と非定型の判断は
あくまで主観的な判断によってなされる


柏木(1962)
曲線の変動量を客観的に計算

生和(1971)
中学生、大学生、看護学生で再検査法による信頼性係数の測定

結果、作業量と誤答率は信頼性係数が高いが、
変動量の信頼性係数は低く、使い物にならない


検査を繰り返し受けると定型パターンが減っていく
=練習すればするほど非定型に判断されやすくなっていく

しかし、定型=平均的な正常者ではない

変動量の信頼係数が低いので、
結局、定型と判断されたり、非定型と判断されたりする。

ただ、それだけ。


作業量の信頼性係数は、高いが、この意味は?
⇒足し算の能力

足し算がたくさん出来る人は知能も高い
ただ、予測率は49%なので、正確な知能を測定できるているかは疑問


総括すれば過去の遺物。


半世紀にわたる恥ずべき逸話である。



「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た

「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た